【準々決勝】鹿児島実-松山商(1996年全国高校野球選手権大会)

1996年8月19日 16:20 阪神甲子園球場

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
松山商 1 3 0 0 0 0 0 1 0 5
鹿児島実 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2

【投手】

鹿児島実:下窪 - 林川

松山商:新田 - 石丸

▽本塁打:今井(松)

観衆:2万6千


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出場選手

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松山商に2-5 春夏連覇消える

第七十八回全国高校野球選手権大会は十九日、甲子園で準々決勝4試合があった。第4試合で松山商(愛媛)と対戦した鹿児島実は2-5で敗れ、史上5校目の春夏連覇はならなかった。

鹿実は初戦の富山商戦を川田の起死回生の三塁打で逆転勝ち。2回戦は市立船橋(千葉)の追撃を振り切った。3回戦は投打とも好調で倉敷工(岡山)に完勝し、五年ぶりの準々決勝進出を果たした。

ベスト4をかけた松山商戦では下窪の立ち上がりを攻められ、好調だった打線も沈黙。最終回やっと維持を見せたが、富山商戦の再現はならなかった。(南日本新聞)

 



下窪 先制弾にグラリ

ベスト4は逃したが、最後まで力投したエース下窪 = 甲子園

エース下窪は初回松山商の一、二番を抑えた。次は大砲・今井。変化球でカウント1-1。そして「走っていた」まっすぐで、外角を突く。今井は手を出す。バッテリーは「打ち取った」、鍛冶屋左翼手は「捕れる」と思った。

だが打球は右翼から左翼に吹く風に乗り、ポール際のフェンスを越えた。「中に甘く入った」と林川。しかし、下窪は「風は意識したが、失投ではない。相手にパワーがあった」と脱帽した。

二回は先頭の六番打者に初球の直球を中前に運ばれた。「狙われているのは分かったが、コースを突けば抑える自信があった」下窪は、八番からも「主にストレート」で3連打され、その回3失点。竹之内コーチは「高めの制球が少し悪かった」と振り返る。

春のセンバツ後のトレーニングで球威は増した。しかし「肩に疲れがあって、投げ込みは十分でなかった」(竹之内コーチ)。そのため、今大会は、最後まで微妙な制球に苦しんだ。

そして、鹿実の強力打線は皮肉にも、下窪の代名詞でもあるスライダーに屈した。久保監督は「ボックスの前に立って、張れ」と指示したが「思ったよりもキレが良かった」と松下。内角には伸びのある直球。各打者は横の揺さぶりに戸惑い、終盤まで凡打の山を築いてしまった。

最終回は意地を見せたものの、春夏連覇のプレッシャーによって、春よりも「疲れがたまった」(川田)ナインに、試合をひっくり返す余力はなかった。連覇に必要なものを久保監督は「投攻守走のバランスに、スタミナ。特にピッチャーのね」と話し、ライナーがことごとく野手の正面をついた不運に触れ「あとツキもないと」と加えた。

(南日本新聞)



日本一の名に恥じぬチーム

【松山商-鹿児島実】9回裏鹿児島実1死一、三塁、林川が左翼線に二塁打を放ち、二者をかえす =甲子園

鹿児島実3年林川大希主将

負けたことは悔しいが、自分たちのできることをしたので悔いはない。甲子園で夏に三回、春も入れると八回も勝てた満足感でいっぱい。胸を張って鹿児島に帰れる。

春夏連覇のプレッシャーはなかった。これまで朝一番の試合から第4試合になったことで調整の影響はあったかもしれないが、言い訳にはならない。

いろいろあったけど、日本一の名に恥じない楽しいチームだった。主将としてみんなに慕われ助けてもらった。フォームを崩しても調子が悪かった分、九回のタイムリーが一番の思い出。

進路は決まっていないが、大学で野球を続けたい。機会があれば、また下窪とバッテリーを組みたい。

(南日本新聞)



鹿実ナインひとこと

下窪陽介投手

みんなを信じて投げた。いいピッチングで百点の出来。打たれた球は甘く入ったのではなく、相手のバッターが上だった。

 

川田浩之一塁手

直球に差し込まれ、変化球にはタイミングが合わず打撃は最悪。分からないままリードされズルズルいった。終わったことが信じられない。

 

岩切信哉二塁手

相手投手は同じ二年生だったので負けないつもりでいたが、自分の打撃をさせてもらえなかった。先輩の力になれず残念。来年また甲子園に来る。

 

松下友昭三塁手

新チームになったときの目標が春夏連覇だったので重圧があった。二回の野選は判断は間違っていない。今でもアウトだと思っている。九回の安打は意地を見せることができた。

 

宮田典幸遊撃手

新田君はすごい投手だとは思わなかった。先制されてもいつでも点がとれると思った。試合が終わるのが速かったけど完全燃焼できた。

 

鍛冶屋直人左翼手

2安打は狙い通り。3回戦ではマウンドにも立てて、納得のいく夏だった。鹿実で頑張ってきたことを生かし、これからの人生も頑張る。

 

田上智之中堅手

いつでも打てると思っていたが、打たされていた。九回は代えられたが、打ってくれてよかった。下窪は一人でよく頑張ってくれた。

 

和気隆浩右翼手

思ったような仕事ができず残念。打てなかったのは悔いが残るが、一生懸命やったのでよしとしたい。後輩に望みを託す。

 

吉村光広選手

ケガで試合に出られなかったのが悔しい。最後まであきらめない先輩の姿に感動した。来年は絶対甲子園に戻ってきて先輩の分まで頑張る。

 

黒瀬淳選手

結果はダメだったが、最後の試合で打席に立ててうれしかった。慣れない展開で鹿実の野球ができなかった。できれば投げたかった。

 

柴田大輔選手

最後に出してもらったのに、監督の期待にこたえられず悔しい。力を出し切れば負けるとは思わなかった。本当に日本一のチームだった。

 

新屋勝利選手

代走で出て自分の役割は果たせた。まとまりのあるチームで今までいい試合を見せてくれた先輩にお礼を言いたい。

 

本村敏幸選手

4点取られた後も、1回戦のように逆転できると信じていた。3点目を取るのがきつかった。何も言葉が出ない。

 

内倉大作選手

九回の打席では気迫で捕らえられると、来た球を無心で打った。甲子園に連れてきてくれた監督に、いつか恩返しができればと思っている。

 

久保裕二選手

打線はいまひとつだったが、4点取られた時も負ける気は全然しなかった。甲子園は僕にとってあこがれだった。

 

(南日本新聞)


鹿実の”夢”断つ松山商 新田の熱投生む今井の一発

松山商打線が鹿児島実・下窪の立ち上がりを攻めて試合の主導権を握った。1回、2死から今井が左翼ポールに本塁打して1点先行すると、2回には中前安打の向井を新田が左中間二塁打でかえしてまず1点。深堀が中前安打で続いた1死一、三塁から吉見が右前適時打。さらに相手の野選で追加点をあげてリードを広げた。

8回にも新田の右犠飛で5点目を奪った松山商に対し、2年生右腕・新田に8回まで散発の3安打に抑えられていた鹿児島実はようやく9回に反撃。1死後、代打・内倉と松下の連続安打で一、三塁とし、4番・林川が左翼線に2点二塁打。しかし後続が連続三振に倒れ、史上5校目の春夏連覇の夢は途絶えた。

 

○松山商・沢田勝彦監督

「強打の鹿実相手に新田が丁寧に投げました。4試合目だが選手は硬くなるのも、今井の一発が緊張を解いてくれた。下窪君を攻めきれるのは序盤だけと思っていたが、うまくいきました。中盤立ち直った後は点がとれなくても動きたかった。」

 

●鹿児島実・久保克之監督

「下窪は決して悪い投球内容ではなかったけれど、松山商打線が際どいコースによくバットが出た。それより新田君に抑えられたのが一番大きい。春夏連覇という気持ちは一切なしで一丸となって必死に戦ってきたのでここまで来られました。」

 

下窪陽介投手

「調子は悪くなかったけれど、リズムに乗る前にやられてしまった感じです。でも自信を持って投げた球を打たれたので仕方がありません」

 

内倉大作選手

(9回に代打で甲子園初打席。反撃の口火となる中前安打)

「ただ無心で来た球を打とうとだけ思ってました。使ってくれた監督に感謝しているので、来年は頑張って監督に恩返ししたい」

 

柴田大輔選手

(9回2死二塁から代打で左翼ポール際へ大ファウルも結局三振)

「打球を見てなくて走ることに集中していました。入ってくれればいうことなかったんですけど・・・」

 

林川大希捕手

(今大会は不振だった4番打者が9回にようやく2点適時二塁打)

「後の打者も続いてくれると信じていたけど相手が上でした。春5回、夏3回と甲子園で8回も勝てたのでうれしいです。」

 

(報知高校野球) 


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